La Petite Sibérie

ゴブレ型に仕立てたグルナッシュ・ノワールの古木の畑一区画のみ(2ヘクタール32.32アール、耕作面積は半分のみ)のブドウを使用。畑は丸い丘の南斜面、西と東から日が当たる。粘土・石灰質の土壌の上に広がる、赤黒い頁岩や雲母片岩は他に例を見ないほど鉄分に富む。気候条件は厳しい。一年のうち200日は、凍りつくような北西風にさらされる。剪定は遅め。摘芽、摘果、摘葉、側生芽摘み など、ブドウ作りには手間がかかる。フルーティなフレッシュさを残しつつも、タンニンの成分であるフェノール酸の生成 が十分に終るのを待って収穫に移る。収穫は手摘み。果実は冷蔵し、運搬も冷蔵車で行う。毎日静かにピジャージュ を行い成分を抽出、20日間に渡りマセレーションを行う。タンクから新樽に引き抜く。亜硫酸塩を添加せずにマロラクティック発酵 終了まで滓と共に寝かせる。ムルヴェードルとシラーを混合し、ヴィンテージにより5~7%ほど、樽の目減り分を補填する。濾過せずにボトル詰め。目を見張るほど面白いワインが出来上がる。ロケーションやシーンによって味わいを変え、時間を経るごとにグラスの中で様々に変化する。驚くような余韻の長さに始まり、続いて現れるバランスの取れた力強いタンニンは忘れがたいほどの心地よさ。熟成までに10年、30年は寝かせておける。